「『サバキスタン』は、群衆が陥りがちな独裁的で狂信妄信的な社会の顛末、というシビアな題材を、ボップで可愛い絵柄と「犬の擬人化」という手法を使って、絶妙なバランスを成立させた作品です。」(漫画家・ちばてつや)
ちばてつや氏が認めたロシアの”反独裁”サーガ、待望の続編!
王と貴族に支配された時代。高貴な家柄の一族であるライコフスキー家は首都の混乱を逃れ、郊外の邸宅に集まった。そこへ届いた”革命勃発”の一報……。
宗教信仰がまだ大きな力を持っていた、革命前の封建的社会を描く。
迷える大国・ロシアから届いた、自由の意義を問いかけるアンチ独裁グラフィック・ノベル第4幕!
■翻訳者より(本書「まえがき」)
サバキスタンは「犬」が主人公の架空の国家。ある地域における20世紀の歴史を下敷きに、第1巻から第3巻まではこの国家「サバキスタン」が今日に至るまでどういった歴史を辿ってきたのかということが描かれており、時代や社会状況はそれぞれの巻で異なる。
さて、訳者はこの第4巻の副題に「革命前夜」と名付けた。その名のとおり、サバキスタン世界における大きな政治・社会変革が起ころうとしているまさにその時代が本書の舞台となっている。
すでに革命がなされ、強力な指導者によって束ねられたサバキスタンを描写した第1巻の時代よりも前、サバキスタンは王侯貴族を中心とした社会であった。
その社会で、それまでの文化・生活様式をまるごとひっくり返すような大きな「革命」がまさに迫っている。
受け入れ難いこの新たな変化に対して、登場人物たちが取る態度は果たしてどのようなものなのか。「革命」とは無縁に思える今の日本を生きる私たちはこれをどう見るだろうか。
この物語を手に取った読者がめくるページの先にあるのは、架空の国家「サバキスタン」の近現代史なのだ。
■プロフィール
ビタリー・テルレツキー(作)
1989年ソ連のレニングラード(現サンクトペテルブルク)生まれ。漫画家。2019年~2022年にかけて『サバキスタン』を制作。コミックレーベル「テルレツキー・コミックス」主宰。
カティア(画)
シベリア生まれ。漫画家・イラストレーター・アニメーター。サンクトペテルブルクで建築を学びながら、イラストや漫画を描くようになる。本とコーヒーと語学を学ぶことが好き。
鈴木佑也(翻訳)
新潟国際情報大学准教授。ロシア・ソ連建築史/美術史、表象文化論。1930~60年代のソ連における大型建築プロジェクトや都市計画、対外建築交流、政治と建築の相関性について研究している。著書『ソヴィエト宮殿 建設計画の誕生から頓挫まで』(水声社)で2023年度日本ロシア文学会賞受賞。
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