富士屋ホテルは、明治11年日本初の本格的リゾートホテルとして箱根に開業した。
建築道楽だった歴代社長のアイデアと大工による和洋混交の独特な建物群で構成され、平成9年には文化財に指定された。この老舗ホテルには、「営繕さん」と親しみをもって呼ばれるスタッフが在任し、建築物の営造や修繕を行っている。最近では稀有な例であるため、知る人は少ないが、富士屋ホテルが今日もなお創業当時の趣を残している理由の一つは裏方である営繕さんの仕事にある。
本書は、2018年4月から改修のため2年間休業になった機会をねらい、富士屋ホテルの異色を放つ建築としての見どころを、ホテルの裏側となる営繕の仕事とともに紹介する。彼らが手掛けた日々のメンテナンス、また庭園の橋や水車、檜風呂などの大仕事、さらにはこの時期だからこそ垣間見ることができるバックヤードなど富士屋ホテルの表と裏の姿を図版豊富に展開する。
おもてなしの空間を支える人々の技と工夫、心意気を伝える一冊。
※本書は2018年LIXIL出版刊「富士屋ホテルの営繕さん 建築の守り人」の復刊となります。
≪メディア掲載情報≫
●雑誌 「CLASSY. 2023年12月号」(光文社)旅にまつわる書籍&映画紹介ページの中でブックディレクターの有地和毅さんに紹介いただきました(2023/10/28)